「レーンスライド」
聞きなれない用語が登場しましたので、上の図解と共に次の通り補足させて頂きます。
メインで監修してくれた大澤大介氏が、古くから実践するテクニックをそう呼称した、いわば、アウトヴの「使いかた・操作方法」を表しています。と同時に、当機種の開発テーマ、”最重要キーワード”でもあるのです。
では、具体的な操作方法(使い方)に突っ込んでみますと、アップクロス~クロス~ダウンクロスと、都度の状況を読み「キャスト→着水→リーリングにより潜行→予め想定したフィーディグレーン付近で強めのトゥイッチを二回」行い、アウトヴを左右にダートさせます。
この時ロッド操作は、低く横にさばくのがベターで、感覚としてはリールのドラグが滑り出すぐらい強めに、素早く、短く、鋭く、二回のトゥイッチを繰り返します。
リズムにすると、
「タンッ・タンッ」・「タンッ・タンッ」
では無く、
「タタンッ!」・「タタンッ!」
と言った按配で、
大澤氏の操作を実際に目の当たりにすると、トゥイッチというよりは”二段ジャーク”などと形容した方が正しいかもしれません。
この二回のトゥイッチを繰り返す間には、当然にして糸ふけを巻き取るリーリングが加わる訳ですが、その動作間、アウトヴは”水中では静止気味となり、不自然な沈下も激しい急な浮上もすることなく、流れに身をゆだね、自然に流下(ドリフト)しながら最大のバイトチャンスを作る事となります。
実際のテスト釣行でも顕著だったのは、ダート後のストップモーションか、動き出す瞬間の激しいバイトが大半を占めました。
この時にフィーディングレーンを捉えていれば、効果はより高くなりますが、もし、仮にフィーディングレーンを外したとしても、アウトヴの過激とも言えるダートに狂ったトラウトは、物凄い勢いでアウトヴを目がけ突進してきますので最後までご用心を。
因みに同様の条件下(特に人為的プレッシャー下)でのヘビーシンキングでは、その殆どが寸前でソッポを向かれてしましましたが、アウトヴは例外ともいえる反応を幾度となく見せてくれました。
つまり、二回のジャークを繰り返す事で、ダートとドリフトがオートマティックに出来てしまうのが、このアウトヴの有する最大の特徴であり、「レーンスライド」を再現する仕組みとしてセッティングされていのです。
フローティングと聞くと、スローな釣りの展開をイメージされるかもしれませんが、アウトヴはその限りではありません。後述しますが、もちろんスローな展開にも対応可能です。
こうして、理想のダートアクションを再現するために採用した長めのリップに、オートマティックドリフトを可能としたフローティングボディこそ、「レーンスライド」の基本骨格であり、”単に浮くタイプ”といった分類に収まる事は端から目標では無かったのが、アウトヴの名前の由来にも通ずるのです。
また実体験の例として、フローティングならではのメリットを生かした、「浮かしたまんま流すデッドドリフト」や、「細い流れの流芯を横切らせるだけのクランキング」も有効でした。
テスト中はヘビーシンキングで流す先行者の後攻となる場面が幾度となくありましたが、それでもアウトヴが強かったのには、製作側の私達ですら目を丸くしたのでした。